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この手の中の恋の一片を

BL作家*四ノ宮慶の商業活動等をお知らせするブログです。

 冬コミ(C79)配布ペーパーSS「お兄さんの秘密」

冬コミに参加できなかった方、ペーパーがもらえなかった方、通販で新刊等をお買い求め下さった方……等々。
12/30に配布しましたペーパーのSSを公開します。拙いお話ですが、楽しんで頂けたら嬉しく思います。




COMIC MARKET 79『玩具の恋』番外編SS
『お兄さんの秘密 -ガクは心配性-』

 なんだかちょっと気になるな……と思うようになったのは、圭吾が大学に通うようになってからだ。そう思い返しながら、俺はグラスをチビリと舐めた。
 圭吾があの冷血眼鏡リーマンとラブラブになったことは、俺も良かったと思ってるし、圭吾が幸せそうなのが何よりも嬉しい。紆余曲折あったけど、結果オーライってことで満足している。でもさ……。
 いろいろ思い悩んでいた圭吾と出会って、俺なりにイイ人を見つけてやりたいと思ってRagtimeに連れてきて、いきなりあの眼鏡リーマンに一目惚れするなんて思ってもいなかった。ドライな関係しかもたない客だって有名だったし、圭吾なんて端から相手にされないって分かっていたから、俺はできることなら圭吾にはすっぱり諦めて欲しいと思ってた。
 けれど圭吾の奴は、初恋だったっていうのもあってか、ほんのちょっと優しくされただけのあの男に、馬鹿みたいに必死にアプローチして、嘘まで吐いて……。
「諦めろ」「あんな奴、圭吾には似合わない」そんなことを何度も言いながらも、圭吾があんまり必死にアイツを想って追っかけるから、俺もついほだされてしまったんだ。
 圭吾が傷つくのが分かっていながら、嘘の手伝いまでして  
 やめろとか言ってても、やっぱり心のどこかでは圭吾の初恋を成就させてやりたいって、俺もずっと思ってたんだ。
 だから、だから……本当は圭吾があの眼鏡リーマンとhappy endを迎えられて、嬉しいんだよ。本っっっ当にっ それは嘘じゃない。神様に誓ったっていい。
 でもさ……、何か最近、ちょっと失敗したかなって思うときもある。
 そりゃさ、圭吾に初めて会ったときから、ちょっと垂れた目が印象的で、エロいことになったらイイ顔するだろうな……とは、俺も思ったさ。ん、正直言うと。
 圭吾は自覚ないみたいだけど、アイツ、結構見た目も性格もレベル高い。まあ、だから、あんなツンツンした眼鏡リーマンになんか、圭吾はもったいないって思った訳だけど。
 そんな訳で、圭吾は実は結構イケてる。イケてる上に、最近、なんだか妙にエロッぽさが増してきたっちゅうか、正直、エロい。
 ふとしたときの表情とか、目の伏せ方とか、おい、お前いつからそんな顔するような子になっちゃったんだよっ! ……って、思わず問い詰めたくなるくらい、最近の圭吾は色っぽくなってきている。
 勿論、考えなくたって原因は分かってる。アイツだ。あの、眼鏡リーマンエロオヤジのせいだ。
 俺が出会った頃の圭吾は、初心で真っ白で、恋愛のいろはの“い“も分からないようなガキんちょだったのに……。
『……あんまり下手だと、飽きられるかな……?』
『は?』
 ある日、突然呟かれた圭吾の台詞に、俺は耳を疑った。そして、ギチギチに凝り固まった首を軋ませながら、ゆっくりと隣に腰掛けている圭吾の顔を見つめる。
    ッ!』
 そこには、何ともいえない色香と憂いをたたえた、俺の知らない圭吾の横顔があった。
 ……ちょっと、待て。何を狼狽えているんだ、俺! よく見ろ! 目の前にいるのは、圭吾だ! あの圭吾だ! 友達で、弟みたいな存在で……まかり間違っても、俺の好みのタイプの男じゃない。
 それなのに、俺は久し振りに胸の奥底がぎゅうっと縮まるような痛みを覚えていた。ぶっちゃけ、ちょっと身体が反応している。認めたくないけど、本能的に『お、いいな』とか思っちゃってる。……あれ? 俺ってばタチもいけちゃう人だったのか?
『なあ、聞いてる? ガク?』
 茫然として固まった俺に向かって、圭吾が唇を尖らせ上目遣いに睨み付ける。
『なに、お前……、あのオッサンに下手だとか言われちゃったの?』
 必死に平静を装いつつも、内心は超パニック状態だ。あの眼鏡リーマン、俺の圭吾になんて台詞を吐かせやがんだ! 下手も何も、圭吾は今のまんまで充分だろうが! その良さも分かんねぇなら、さっさと圭吾から手を引けってんだ!
 内心ではそう吐き捨てながらも、俺は真剣に思い悩んでいる圭吾が可哀想で、馬鹿を承知でエロオヤジをメロメロにするテクを伝授してやったのだ。
「はぁ……」
 我ながら、お節介な奴だなって思う。でもさ、可愛いんだ、仕方ない。
 それに、そうやって懸命に圭吾をあの眼鏡リーマンにくっつけておかないと、微妙に俺の胸にもさざ波が起こっちゃうから。
 本当、最近マジでヤバい。圭吾でこっそりヌいたなんて、地獄まで抱えていかなきゃならない秘密だ。
 圭吾は勿論、俺の大切なカレシのためにも    

                     end 2010.12.30




1/20に発売の花丸文庫BLACK『形代の恋』は、圭吾と出会う前のガクとその恋人とのお話です。
心配性なガクの過去や切ない恋の物語となっています。書店などでお見かけの際は、是非、手にとってやって下さい。
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