『淫魔ちゃんに溺愛レッスン』発売と特典のお知らせ(4/23発売記念SS追記)
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4月18日に幻冬舎ルチル文庫様より『淫魔ちゃんに溺愛レッスン』が発売になります。
イラストは駒城ミチヲ先生です。
※4/23に発売記念SSをアップしました。軽くネタバレしていますので、本編読了後にご覧ください。

以下、あらすじより。
【快楽に乱れ、フェロモンを発するあなたはとても愛らしい】
淫魔なのにフェロモンが出せず、貞潔な恋愛に憧れる乙女思考の礼夢。 清い身体のまま成長したが、二十歳までに人間から精気を吸い取るすべを体得しなければ塵となって消えてしまうため、心配した兄にとある温泉地にある秘宝館へ連れて行かれる。初心な礼夢には刺激の強過ぎる環境。そこで秘宝館の美しいオーナー・獅央から甘く淫靡な治療を施されて……?!
★特典のお知らせ★
*中央書店コミコミスタジオ様では、書き下ろし小冊子が付きます。
※配布方法等は書店様にてお確かめください。
*後日配信される電子版には、電子限定SSが特典として収録されます。
2018年2作目は、1作目の『曉の蝶』からガラッと雰囲気の違う甘くてエロ可愛いお話です。ルチルさんなので【痛くない方の四ノ宮慶】ですので、痛いのが苦手な方にも安心して読んでいただけると思います。
もうね、本当にね、四ノ宮慶作品の中で多分、このお話が一番甘い溺愛話になっていると思いますので、そのあたりを楽しみつつ読んでいただけたら嬉しいです。
コミコミさんの小冊子は10000字越えと、たっぷり本編後のお話を書き下ろさせていただきました。電子の方も本編に出てくるサブキャラの裏設定みたいなSSを書き下ろしていますので、電子派の皆さんもどうぞよろしくお願いします。
ルチルさんでは毎回いろんなジャンル、テーマにチャレンジさせていただいてて、そのたびに担当さんにご迷惑をかけているんですが、お陰様で本当に甘くて可愛らしいお話に仕上がったと思います。
イラストの駒城ミチヲ先生の素敵できれいでカワイイ挿絵も、是非、ご堪能いただきたい! 口絵がぴんくです! めっちゃぴんくです! ふんわり漂う淫靡な雰囲気の口絵がお気に入りなので、そこもチェックしてやってくださいね(つまりご購入時のカバー掛けの際には注意が必要です)
今回も、ツイッターのタグ企画を行います。
是非「#淫魔ちゃん」のタグ付きで、ご購入報告やご感想をツイートしてください。後日プライベッターでお礼SSをリスト限定で公開します。タグ企画にご参加くださった方のアカウントをリストに登録させていただきます!
当方をフォローいただく必要はありませんが、引用RTさせていただくこととモーメントにまとめさせていただくことをご理解ください。また、鍵垢の方はこちらから確認できないのでご注意くださいね。
そしてもちろん、編集部宛てにご感想をお送りいただけると、本当に、マジで、すっごく嬉しいです。
読者様の声を直接編集部に送っていただくことが、作家の後押しになっています。ルチルさんのツイッターアカウントへのリプ、公式サイトのメルフォからでも結構です。編集部、そして担当さんも確実に喜んでくださるので、どうかよろしくお願いします。
ご住所のある方には、お時間はかかりますが必ずお返事させていただきます。どうぞ、ご感想をお聞かせください。
発売日当日、こちらに発売記念SSをあげられたらと目論んでいます。
無事に書き上げられたらツイッター等でお知らせしますので、本編読了後にチェックしてやってくださいね。
そして、発売記念SSを以下にアップしています。
よろしければ、こちらもお付き合いください。
(ネタバレ内容を含んでいますので、本編読了後の閲覧をおススメします)
イラストは駒城ミチヲ先生です。
※4/23に発売記念SSをアップしました。軽くネタバレしていますので、本編読了後にご覧ください。

以下、あらすじより。
【快楽に乱れ、フェロモンを発するあなたはとても愛らしい】
淫魔なのにフェロモンが出せず、貞潔な恋愛に憧れる乙女思考の礼夢。 清い身体のまま成長したが、二十歳までに人間から精気を吸い取るすべを体得しなければ塵となって消えてしまうため、心配した兄にとある温泉地にある秘宝館へ連れて行かれる。初心な礼夢には刺激の強過ぎる環境。そこで秘宝館の美しいオーナー・獅央から甘く淫靡な治療を施されて……?!
★特典のお知らせ★
*中央書店コミコミスタジオ様では、書き下ろし小冊子が付きます。
※配布方法等は書店様にてお確かめください。
*後日配信される電子版には、電子限定SSが特典として収録されます。
2018年2作目は、1作目の『曉の蝶』からガラッと雰囲気の違う甘くてエロ可愛いお話です。ルチルさんなので【痛くない方の四ノ宮慶】ですので、痛いのが苦手な方にも安心して読んでいただけると思います。
もうね、本当にね、四ノ宮慶作品の中で多分、このお話が一番甘い溺愛話になっていると思いますので、そのあたりを楽しみつつ読んでいただけたら嬉しいです。
コミコミさんの小冊子は10000字越えと、たっぷり本編後のお話を書き下ろさせていただきました。電子の方も本編に出てくるサブキャラの裏設定みたいなSSを書き下ろしていますので、電子派の皆さんもどうぞよろしくお願いします。
ルチルさんでは毎回いろんなジャンル、テーマにチャレンジさせていただいてて、そのたびに担当さんにご迷惑をかけているんですが、お陰様で本当に甘くて可愛らしいお話に仕上がったと思います。
イラストの駒城ミチヲ先生の素敵できれいでカワイイ挿絵も、是非、ご堪能いただきたい! 口絵がぴんくです! めっちゃぴんくです! ふんわり漂う淫靡な雰囲気の口絵がお気に入りなので、そこもチェックしてやってくださいね(つまりご購入時のカバー掛けの際には注意が必要です)
今回も、ツイッターのタグ企画を行います。
是非「#淫魔ちゃん」のタグ付きで、ご購入報告やご感想をツイートしてください。後日プライベッターでお礼SSをリスト限定で公開します。タグ企画にご参加くださった方のアカウントをリストに登録させていただきます!
当方をフォローいただく必要はありませんが、引用RTさせていただくこととモーメントにまとめさせていただくことをご理解ください。また、鍵垢の方はこちらから確認できないのでご注意くださいね。
そしてもちろん、編集部宛てにご感想をお送りいただけると、本当に、マジで、すっごく嬉しいです。
読者様の声を直接編集部に送っていただくことが、作家の後押しになっています。ルチルさんのツイッターアカウントへのリプ、公式サイトのメルフォからでも結構です。編集部、そして担当さんも確実に喜んでくださるので、どうかよろしくお願いします。
ご住所のある方には、お時間はかかりますが必ずお返事させていただきます。どうぞ、ご感想をお聞かせください。
発売日当日、こちらに発売記念SSをあげられたらと目論んでいます。
無事に書き上げられたらツイッター等でお知らせしますので、本編読了後にチェックしてやってくださいね。
そして、発売記念SSを以下にアップしています。
よろしければ、こちらもお付き合いください。
(ネタバレ内容を含んでいますので、本編読了後の閲覧をおススメします)
『淫魔ちゃんに溺愛レッスン』発売記念SS
『淫魔ちゃんのスイートダイアリー』
「えっと……」
獅央と礼夢が暮らす秘宝館の地下にある寝室。
「その」
新調したベッドの上、礼夢は困惑に満ちた瞳を獅央に向けつつ、もごもごと口籠った。
「どう……しても?」
上目遣いに問いかけると、獅央が薄く笑みを浮かべて頷く。
「ええ、できれば」
獅央はベッドから離れた壁際に立ち、青い光を帯びた眼差しをまっすぐ礼夢に注いでいた。
「できれば……ってーー」
色香の滴る視線に耐え切れず、礼夢は俯いてしまう。
なんで、こんなことになっちゃったんだろう……。
ベッドの上でぺたんと座り込んだまま、礼夢はほんの少し前のやり取りを思い返した。
秘宝館の仕事を終えると、眠りにつくまで二人で他愛のない会話を楽しんだり、ふつうの人間のように街に出かけたりするようになっていた。
淫魔である二人は、食事をする必要はないのだが、たまに雰囲気のいいリストランテで向かい合って非日常を楽しむ。
人間のような恋愛を夢見る礼夢のため、獅央がそのときどきで趣向を凝らしたデートに誘ってくれるのだ。
そんな優しさ溢れる愛情が、礼夢には堪らなく嬉しくて、この上なく幸せだと感じていた。
フェロモンが無事に出るようになり、獅央と相思相愛だと分かってからというもの、礼夢の毎日は文字どおり薔薇色ーー青い薔薇ではなく恋ピンクの薔薇色だーーに満ちている。
今日も、仕事が終わって二人が暮らす部屋に戻ってきたとき、獅央が優しく声をかけてくれたのだ。
『今夜は、どうしましょう? どこか行きたいところやしてみたいことはありませんか?』
獅央はいつも、礼夢の希望ばかりを訊ねて、それに応えてくれる。
それが嬉しかったけれど、同時に礼夢は申し訳ないとも思っていた。
だから、獅央の問いかけに首を振ったのだ。
『いつも僕のリクエストにばかり応えてもらうの、不公平だなって思うんです』
獅央は驚いた表情を浮かべたかと思うと、すぐにふわりと微笑んだ。
『では、私がリクエストを……?』
『はい。僕だって、獅央さんにいつも何かもらってばかりじゃ、イヤだなぁ……って』
そのとき、獅央の瞳が妖しい青い光を放った。
ーーあのとき、気づけばよかったんだ。
記憶を辿りながら、礼夢はきゅっと唇を噛む。
獅央はふだんは漆黒の瞳を青く光らせながら、礼夢に言った。
『では、お言葉に甘えて……』
何を言われても、求められても、獅央のためならなんでもできると思って、礼夢は真剣にそのリクエストに耳を傾けた。
『今夜は、あなたから私を誘ってその気にさせてくれませんか?』
けれど、獅央の形のいい唇が紡いだ言葉は、礼夢が想像してもいなかったもので……。
『フェロモンだけでなく、あなたにしどけなく、しっとりと淫らに、ベッドへ誘ってもらいたいのです』
その言葉を聞いて、礼夢は絶句してしまった。
しかし獅央は平然としたまま、いつもと変わらぬ穏やかな笑顔で、瞳ばかりを妖しく青く光らせ続けた。
『嫌なら、断ってもいいのです。ただの……私のくだらない願望なのですから』
そう言われて、断れるはずがない。
『わ、わかり……ましたっ』
できるかどうか、まるで判断もつかないうちに、礼夢は思いきり大きく頷いていたのだった。
ーーなんで、安請け合いしちゃったんだろう……。
羞恥と後悔に苛まれつつ、獅央の視線から逃げるように項垂れる。
すると、痺れを切らしたのか、獅央が重い溜息を吐くのが聞こえた。
「礼夢」
呼びかける声は、どことなく上擦っている。
もしかして、呆れられただろうか。
淫魔なのに、恋人を誘惑することもできないなんて……。
そんな不安を胸に抱きつつ、礼夢はおずおずと顔を上げた。
「あ」
見上げた瞬間、鼻腔を甘い薔薇の香りがくすぐる。
いつの間にベッドに近づいていたのか、気づけば獅央が目の前に立っていた。
「そんな泣き出しそうな顔をしないでください。悪戯が過ぎたようですね」
眉を八の字にして、獅央がさも申し訳ないといったふうに首を傾げる。
礼夢は意味が分からず、青い光を帯びた美しい瞳を見つめるばかりだ。
「し、おう……さん?」
目にうっすらと涙を滲ませると、獅央が指の背で零れ落ちかけた雫を拭ってくれた。
「さっきの願望が嘘かと言えば、そういうわけではないのですが……」
静かにベッドの端へ腰を下ろすと、獅央はそっと礼夢の肩を抱いた。
「どんなあなたでも私にとってはいつだって飛びかかりたいほど魅力的で、それこそ、フェロモンだって不要なほどなのです。ただ……」
そこで一度口を噤むと、獅央はよりいっそう困った顔で礼夢を見つめた。
「まだ見たことのない、あなたの表情を見てみたくて……。あのような願望を口にしてしまったのです」
「え……」
驚きと困惑で、礼夢は何を言っていいのか分からなかった。
「あなたを困らせたかったわけじゃないのです。このとおり、冗談が過ぎました。謝ります。どうか、許してください」
礼夢の目の前で深々と頭を下げる。
そこでようやく、獅央の言葉と行動の意味を理解した礼夢は、ホッとすると同時に思わず小さく噴き出してしまった。
「……ふふっ」
そして、獅央に寄りかかって小さく告げる。
「そんな、謝るようなことじゃ……」
「けれど、あなたを泣かせてしまった」
獅央が礼夢の手に大きな手を重ね、溜息交じりに囁く。
「驚いたけど、獅央さんの願いなら、努力して応えてあげたいと思います」
本心からの言葉をするりと口にすると、獅央が驚きに目を瞠った。
「礼夢……?」
「獅央さんが僕になんでもしてくれようとするのと、同じです」
にこりと微笑むと、美しく整った顔がくしゃりと崩れる。
「なんでも?」
問われて、礼夢はコクンと頷いた。
「今すぐ、アレもコレも……って言われちゃうと、さっきみたいに固まっちゃうけど」
淫魔なのに羞恥心が強過ぎるのは、どうしようもない。
「では、まずは私に口付けをくれますか?」
けど、獅央はそんな礼夢の心情をちゃんと分かってくれる。
「はい」
礼夢は頬がポッと熱くなるのを感じながら、自らそっと、愛しい恋人の唇にキスをした。
唇はやがてどちらからともなく薄く開かれ、甘い吐息を洩らす。
そして、互いに舌を差し出し、吸い合った。
やがて二人の身体がシーツに倒れ込み、ベッドが軋む。
そこから後のことはーー。
誰にも話さないで、礼夢は胸の中に閉じ込めておこうと思った。
甘い甘い、糖蜜のような毎日が、これからも続くーーーー。
終わり
(2018.04.23)
『淫魔ちゃんのスイートダイアリー』
「えっと……」
獅央と礼夢が暮らす秘宝館の地下にある寝室。
「その」
新調したベッドの上、礼夢は困惑に満ちた瞳を獅央に向けつつ、もごもごと口籠った。
「どう……しても?」
上目遣いに問いかけると、獅央が薄く笑みを浮かべて頷く。
「ええ、できれば」
獅央はベッドから離れた壁際に立ち、青い光を帯びた眼差しをまっすぐ礼夢に注いでいた。
「できれば……ってーー」
色香の滴る視線に耐え切れず、礼夢は俯いてしまう。
なんで、こんなことになっちゃったんだろう……。
ベッドの上でぺたんと座り込んだまま、礼夢はほんの少し前のやり取りを思い返した。
秘宝館の仕事を終えると、眠りにつくまで二人で他愛のない会話を楽しんだり、ふつうの人間のように街に出かけたりするようになっていた。
淫魔である二人は、食事をする必要はないのだが、たまに雰囲気のいいリストランテで向かい合って非日常を楽しむ。
人間のような恋愛を夢見る礼夢のため、獅央がそのときどきで趣向を凝らしたデートに誘ってくれるのだ。
そんな優しさ溢れる愛情が、礼夢には堪らなく嬉しくて、この上なく幸せだと感じていた。
フェロモンが無事に出るようになり、獅央と相思相愛だと分かってからというもの、礼夢の毎日は文字どおり薔薇色ーー青い薔薇ではなく恋ピンクの薔薇色だーーに満ちている。
今日も、仕事が終わって二人が暮らす部屋に戻ってきたとき、獅央が優しく声をかけてくれたのだ。
『今夜は、どうしましょう? どこか行きたいところやしてみたいことはありませんか?』
獅央はいつも、礼夢の希望ばかりを訊ねて、それに応えてくれる。
それが嬉しかったけれど、同時に礼夢は申し訳ないとも思っていた。
だから、獅央の問いかけに首を振ったのだ。
『いつも僕のリクエストにばかり応えてもらうの、不公平だなって思うんです』
獅央は驚いた表情を浮かべたかと思うと、すぐにふわりと微笑んだ。
『では、私がリクエストを……?』
『はい。僕だって、獅央さんにいつも何かもらってばかりじゃ、イヤだなぁ……って』
そのとき、獅央の瞳が妖しい青い光を放った。
ーーあのとき、気づけばよかったんだ。
記憶を辿りながら、礼夢はきゅっと唇を噛む。
獅央はふだんは漆黒の瞳を青く光らせながら、礼夢に言った。
『では、お言葉に甘えて……』
何を言われても、求められても、獅央のためならなんでもできると思って、礼夢は真剣にそのリクエストに耳を傾けた。
『今夜は、あなたから私を誘ってその気にさせてくれませんか?』
けれど、獅央の形のいい唇が紡いだ言葉は、礼夢が想像してもいなかったもので……。
『フェロモンだけでなく、あなたにしどけなく、しっとりと淫らに、ベッドへ誘ってもらいたいのです』
その言葉を聞いて、礼夢は絶句してしまった。
しかし獅央は平然としたまま、いつもと変わらぬ穏やかな笑顔で、瞳ばかりを妖しく青く光らせ続けた。
『嫌なら、断ってもいいのです。ただの……私のくだらない願望なのですから』
そう言われて、断れるはずがない。
『わ、わかり……ましたっ』
できるかどうか、まるで判断もつかないうちに、礼夢は思いきり大きく頷いていたのだった。
ーーなんで、安請け合いしちゃったんだろう……。
羞恥と後悔に苛まれつつ、獅央の視線から逃げるように項垂れる。
すると、痺れを切らしたのか、獅央が重い溜息を吐くのが聞こえた。
「礼夢」
呼びかける声は、どことなく上擦っている。
もしかして、呆れられただろうか。
淫魔なのに、恋人を誘惑することもできないなんて……。
そんな不安を胸に抱きつつ、礼夢はおずおずと顔を上げた。
「あ」
見上げた瞬間、鼻腔を甘い薔薇の香りがくすぐる。
いつの間にベッドに近づいていたのか、気づけば獅央が目の前に立っていた。
「そんな泣き出しそうな顔をしないでください。悪戯が過ぎたようですね」
眉を八の字にして、獅央がさも申し訳ないといったふうに首を傾げる。
礼夢は意味が分からず、青い光を帯びた美しい瞳を見つめるばかりだ。
「し、おう……さん?」
目にうっすらと涙を滲ませると、獅央が指の背で零れ落ちかけた雫を拭ってくれた。
「さっきの願望が嘘かと言えば、そういうわけではないのですが……」
静かにベッドの端へ腰を下ろすと、獅央はそっと礼夢の肩を抱いた。
「どんなあなたでも私にとってはいつだって飛びかかりたいほど魅力的で、それこそ、フェロモンだって不要なほどなのです。ただ……」
そこで一度口を噤むと、獅央はよりいっそう困った顔で礼夢を見つめた。
「まだ見たことのない、あなたの表情を見てみたくて……。あのような願望を口にしてしまったのです」
「え……」
驚きと困惑で、礼夢は何を言っていいのか分からなかった。
「あなたを困らせたかったわけじゃないのです。このとおり、冗談が過ぎました。謝ります。どうか、許してください」
礼夢の目の前で深々と頭を下げる。
そこでようやく、獅央の言葉と行動の意味を理解した礼夢は、ホッとすると同時に思わず小さく噴き出してしまった。
「……ふふっ」
そして、獅央に寄りかかって小さく告げる。
「そんな、謝るようなことじゃ……」
「けれど、あなたを泣かせてしまった」
獅央が礼夢の手に大きな手を重ね、溜息交じりに囁く。
「驚いたけど、獅央さんの願いなら、努力して応えてあげたいと思います」
本心からの言葉をするりと口にすると、獅央が驚きに目を瞠った。
「礼夢……?」
「獅央さんが僕になんでもしてくれようとするのと、同じです」
にこりと微笑むと、美しく整った顔がくしゃりと崩れる。
「なんでも?」
問われて、礼夢はコクンと頷いた。
「今すぐ、アレもコレも……って言われちゃうと、さっきみたいに固まっちゃうけど」
淫魔なのに羞恥心が強過ぎるのは、どうしようもない。
「では、まずは私に口付けをくれますか?」
けど、獅央はそんな礼夢の心情をちゃんと分かってくれる。
「はい」
礼夢は頬がポッと熱くなるのを感じながら、自らそっと、愛しい恋人の唇にキスをした。
唇はやがてどちらからともなく薄く開かれ、甘い吐息を洩らす。
そして、互いに舌を差し出し、吸い合った。
やがて二人の身体がシーツに倒れ込み、ベッドが軋む。
そこから後のことはーー。
誰にも話さないで、礼夢は胸の中に閉じ込めておこうと思った。
甘い甘い、糖蜜のような毎日が、これからも続くーーーー。
終わり
(2018.04.23)
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